The Northern Spirits

北に未来あり

月別: 2017年3月

アラスカ出発前夜に思うこと。

 冬のガイドが終わった翌日から地元・三重県に帰省し、今日で十日間が経つ。一年ぶりに会った家族は皆元気で、変わった事といえば母が髪を染めるのをやめて白髪になっていたことくらい。「年齢に抗わない事にした~。」だそう。久しぶりに過ごした家族との時間はかけがえのないものとなった。

 松阪市に「松浦武四郎記念館」があり、家族と一緒に行ってきた。三重県出身の松浦武四郎(1818~1888)は北海道の名付け親だ。十代から全国を渡り歩き見聞を広め、己を磨いていった。武四郎が26歳の頃「北の大地が異国(ロシア)に狙われている」と聞き、危機感を覚え蝦夷地調査に乗り出した。そして28歳から41歳の間、6度に渡り調査を行った。明治2年(1869年)には開拓判官となり、蝦夷地に新たな名前をつけることに。そのとき武四郎は天塩川調査の際、出会ったアイヌのアエトモというエカシ(古老)から聞いた話を思い出す。アイヌの言葉で「カイ」は「この国に生まれたもの」を指す。蝦夷地の名称を考案する際に、「カイ」を取り入れ「北加伊道」としたのは、アイヌ文化を大事にした武四郎の思いが込められているのだろう。そして文字、読み方が変わり現在のホッカイドウとなったわけだ。三重県出身の僕が北海道の自然・地理・歴史などを伝える「ネイチャーガイド」になったことが、偶然とは思えない。なるべくしてなったと、今は思う。武四郎は全国をめぐる旅行家だっただけでなく、登山家としてもたくさんの山に登ったという。僕が自然に興味を持つきっかけは山登りであったから、こういう共通点もなんだか彼に親近感を抱く理由の一つだ。彼はただ歩くだけでなく地名・地形・行程・距離・歴史を調べ、アイヌから風俗・言い伝えを聞き取り、これを日誌風の地誌に仕立てていった。

 

 記念館では彼の功績がパネルで分かりやすく展示されており大変勉強になったばかりでなく、武四郎が得意であった篆刻(石を掘って作成された印章)や家族にあてた直筆の手紙など貴重な資料もあり見ごたえがあった。さらに晩年、武四郎が1886年に東京都五軒町の自宅の片隅に造ったという一畳敷の書斎まで再現されてあった。その部屋は靴を脱いであがることができ、そこで目を閉じて武四郎の生涯を想った。

 

 記念館の近くにある生家は外壁工事中のため、中に入れず残念であったが来年のお楽しみということで。アイヌ文化を大切に思っていた武四郎の意志を継いでいるからか、記念館にはアイヌの民族衣装がおいてあった。館長さんに許可をもらい、その衣装を祖父母と着込んで記念撮影をさせてもらった。


いつまでも大切にしたい写真だ。あと何度こんな時間を過ごすことができるだろう。そう思うと、今までにない感情が湧いてきた。家族と過ごす時間、一瞬一瞬を大切にしたい。今年こそは両親に、自分が漕艇するカヌーに乗ってもらいたい。今年の僕の夢だ。

 

 明後日から四月になる。僕は冬が好きだ。マイナス20度を下回る厳しい世界で、一層輝く生命。日中でも最高気温は氷点下。こちらで冬の厳しさを知ってから、太陽の温かな日差しに本当に感謝するようになった。北の大地で暮らし、冬が大好きになった。このまま春が来なければいいのに、とすら思うときがある。「北海道のベストシーズンは?」と尋ねられたら今なら迷わず冬だと答えるだろう。

 

 明日から成田~シカゴ経由でアラスカのアンカレジに入る。僕の師匠は15年近く、毎年アラスカに通っている。(写真家・故 星野道夫さんがきっかけでアラスカとのご縁ができたそうだが、それはまたの機会に)「アラスカには150年前の北海道の姿がある。」とは師匠の言葉。師匠は2週間前からアラスカに入っている。もちろんガイドするためだ。北海道だけでなくガイドの舞台はオホーツク海、ベーリング海を越えてアラスカにまで及ぶ。僕はその後半から同行させてもらう。そうだ。春の日差しに気持ちよくなっている場合ではない。冬のガイドはまだまだ終わっていない。今年、2度目の冬だ。オーロラ、広大な大地、陽気だと噂に聞く現地の人々・アラスカンとの交流、、、明日からの【アラスカ編】にワクワクして今夜は眠れそうにない。

標茶高校 特別講義

Makoto Ando氏による標茶高校の講義に同行させてもらいました。講義は三日間行われ各日一年生、二年生、二限ずつ行われ、僕が同行した昨日は最終日でした。昨日の講義内容は

一年生 農業と環境
二年生 北海道の自然

 環境教育でも、先生方がお話しするのと、現場に毎日出ているガイドが話す内容では違うようで生徒さんも興味深く聞いていました。例えば、エゾシカの増加、牧草地に関わる諸問題。狼が北海道に暮らしていた時代まで遡って考える。ひとつの視点ではなく動物、自然、人間、と多角的に、そして時間軸で物事を考えることが大切です。

十代で氏の講義が聞けるなんて、うらやましいです。この中でガイド志望の若者がでてくるかもしれません。Mutsumi Anndouさんと、僕も各コマで10分ほど時間を頂き、少しお話させてもらいました。

そして、ただの講義で終わる訳はなく、ミニライブも。ギター少年少女たちのキラキラした顔が忘れられません。僕もボーカルで参加させてもらいました。皆さん、次はヒッコリーウィンドで待っています。再会を期待して。

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標茶高校の先生方、生徒さん、貴重な体験をありがとうございました。

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