目が覚めてベランダに出ると、決して見晴らしは良いとは言えないけれどもビルの隙間から雪に覆われた山々が見えた。ついにアラスカに来たんや、、、じわじわと胸の中から熱い何かがこみ上げてきた。

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アンカレジ2日目。集合時間に外に出ると、師匠が既に何かを撮影していたようだ。

「Bohemian waxwingがいるぞ。見たことあるか?見ておけ。」

なにー!!!!

僕はその鳥を見たことが無かった。今の仕事歴=バードウォッチング歴なので、まだ2年にも満たない。そもそも北海道以外でバードウォッチングをしたことがないというのに、初めてのアウェイがアラスカ。贅沢すぎだろう。ナナカマドの実がついている木の前でその鳥を待つことに。鳥も賢いから食べる実を選ぶのだそう。師匠が目星をつけた木にほどなくしてやって来た。実の熟し具合で味が変わるのだ。しかも、群でやって来た。そろりと近づいてシューティング(撮影)開始。夢中でシャッターを切っていると、地元民が気さくに「シューティング(ここでは冗談で狙撃を意味したと思われる)してるのか!高そうなカメラだな!」と話しかけてきた。すぐあとに来た男性も「良い写真撮れたか?」と、これまた話しかけて来た。この街は誰もが友達のように話しかけてくる。アラスカンたちは噂通りのフレンドリーさだ。Bohemian waxwingは上空で群と群が合体し、更に大きなグループを形成して空を舞っている。その数、ざっと200以上。初めて見たその鳥、和名=キレンジャクはとんでもない数だった。(写真はピンぼけ、、、悔しい!)

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これがアラスカって場所だ。師匠のドヤ顔。す、すごい、これがアラスカか。。。撮影のあと、ようやく移動。アンカレジという街は一方通行ばかりなので初心者には運転は難しい。ということで僕は助手席に。眼下に海が見えてきた。クック湾だ。アラスカ州の南部、アリューシャン山脈とキーナイ半島の間に挟まれ、南西方向に伸びる湾だ。湾の外はアラスカ湾、更には太平洋に繋がっている。その湾奥にアンカレッジの街があるというわけだ。クックという名称は、イギリスの探検家キャプテン・クックがこの地に立ち寄った事による。彼の死後、1794年に名付けられたそうだ。

午前11時。アンカレジの街を出て ジョージ・パークス・ハイウェイを北上していく。本日の目的地はフェアバンクスだ。師匠いわく、「目標到着時間は22時。オーロラ次第だ。」走行距離は362miles。1mile=約1.6kmなので、580kmということになる。名古屋~東京の往復くらい!

出発して30分程で師匠が何かを発見。ムース(ヘラジカ)だ!大きい!でも角がない。双眼鏡で見ると角が抜け落ちた跡が確認できた。ということはオスだ。ヤナギなどの芽を食べるから道路脇で見られるのだ、とは言うものの時速80km以上で走行中に見つける眼力、さすがです。ムースにアラスカ来訪を歓迎された気分だ。その後、若いムースにもまたまた遭遇。本日2匹めでムース祭りだ。と思ったら車の上をBlack billed magpie(=カササギ)が飛んでいくし、Bald eagle(ハクトウワシ)の幼鳥も木の止まって休んでいる。なんてこった!ここはバードウォッチング天国だ!

相変わらず信号のない道を進んでいくと、不思議な木がたくさんある荒野が現れた。1964年3月28日、アラスカ、プリンス・ウィリアム湾においてマグニチュード8.4の巨大地震が引き起こした津波がここまで届いて、海水で森が死に、立ち枯れている状態だそうだ。野付湾のナラワラ、トドワラを思い出す風景だ。

アンカレジを出て70km。ワシラという街に着いた。SPORT’S MAN WAREHOUSEという最強のアウトドアショップに寄るためだ。ここでガイドに必要な装備品、防寒具等を手に入れた。(どんなものを購入したか見当がつく人は身内、もしくはかなりのHICKORY通だ。笑)恐らく少なく見積もって2時間はお店で買い物していたと思う。目的のブツを手に入れ満足した。昼食はすぐそばのHolidayというガソリンスタンド内にあるお店でセルフサービスのホットドックを食べた。ドリンクと合わせて3ドル+50セントだ。師匠が地元の人に聞いて知ったというその店。うまいもんは地元の人に聞くのが間違いない。売店ではビーフジャーキーなどを仕入れた。それにしてもアラスカ中、どこにいてもリアルツリー(木や植物の迷彩柄)を着ている人がいる。

Bohemian waxwing、Black billed magpie、Bald eagleの3種の野鳥を初見できて既に満足していたのだがSnow buntingが予期せぬ姿で現れた。これも初めてだ。1羽、道路を横切る姿を師匠が見つけた後、すぐに「道路に1羽死んでいる。」と。路肩に車を寄せて車から降り、白い小さな物体に駆け寄る。 Snow bunting 、、、ユキホオジロの死体だ。さっき道路を横切った1羽はパートナーだったのであろう。伴侶の「死」という現実をまだ受け入れられていないのかもしれない。息絶えたユキホオジロを手のひらで包みこみ、路肩に連れて行く。そして、雪の上にそっと置いた。師匠が優しくタッチをして何かを確かめる。「まだ温かい。多分1時間以内に車に轢かれたんだ。」目を反らしたくなったが、こんなに間近に見られるチャンスはない。手を合わせ、翼を広げたりして、じっくり観察させてもらった。ありがとう。君のおかげでユキホオジロという鳥のことを知ることができた。君の死は無駄にしない、ともう一度手を合わせた。もうキタキツネが今夜の食事に持っていっただろう。そうして自然は循環していくのだ。

ユキホオジロやベニヒワの群れを見ながら車はさらに北上する。霞んでいたため、楽しみにしていたマッキンリーは見れず。(マッキンリー= 北アメリカ最高峰である。標高6,190m。2015年8月31日よりアメリカ合衆国は「デナリ」を正式な呼称とすることを告示。)

このあたりからの眺望はドライブしないと体験できないものだ。まるで道路がひとつの生命体であるかのように曲がりくねった姿をしている。眼下に広がるアラスカ山脈。原野を貫くジョージ・パークス・ハイウェイ。素晴らしい場所だ。

フェアバンクスまであと1時間という所で、急に師匠が車を停車させた。「ここが秘密のオーロラ撮影ポイントだ。」目印は何一つとしてない。が、ここだけ見通しがいい。森が開けているのだ。日中、購入したばかりの防寒具を身に着け、オーロラを待つ。師匠がそわそわし出した。まだ僕には何も見えない。カメラのシャッターを切り、空の色を確かめる。それまで曇り空だったのに、うっすらと、空の色が明るくなった気がする。少し待機し、もう一度同じ方角に向けてシャッターを切る。

空が緑だ!!!!!!!!!!!!!!!

師匠「おめでとう、オーロラだ。アラスカに歓迎されたな。」

常人では見えぬほどの違和感を空に見つける。 この光は【レベル1】くらいだそう。

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レベル3以上で肉眼で確認できるようになるそう。オーロラ、月光の風景写真撮影のレクチャーを受け、撤収。

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そして1時間ほどドライブし、フェアバンクスの街に到着。結局、師匠が580kmを走破。そういえばここまで信号はひとつも見なかった。580km、高速道路でもないのに信号機が一つも無いなんて!規格外!笑

こうして大満足の1日が終わった。。。と思いきや、ホテルの部屋のあまりの豪華さに本日、何度目かの度肝を抜かれた。全てが規格外。

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朝5時になろうとしている。3日目へ続く。